現在,空前の好景気と人手不足に加え,IoTやAIによって情報技術を習得した学生への社会の注目が集まっています。情報科学部の学生としてうれしい限りの状況ですが,そんな中で自分の価値を高めるための勉強・研究として何をしたらよいのでしょうね。この研究室でどんなことができるのか,何を理想とするのか,まとめてみます。
「IoT技術者」に必要なもの
IoTやAIで何か新しいことをしたい,という社会の需要はとても高まっています。一方,みなさんが勉強し研究する情報科学とはなんでしょうか。従来的にはコンピュータそのもの,つまりコンピュータのハードウェアとソフトウェアに関する学問であったかもしれません。しかし現在,「IoT・AI時代」となって特に重要性が高まっているのが,ハードウェア,ソフトウェアの知識に加えて「それを使ってどんな面白いことをするか」を考える想像力と,「それをやってみせる」実現力,そして,その重要性を伝える「説明力」です。
神谷(幸)研究室で目指すこと
わが研究室の活動で特徴的なのはアイデアの「実現」「実用」の重視です。わが研究室の学生はソフトウェアを書くだけでなく,動作させるための電気回路を作り,センサを動かし,パッケージ化した上でツナギを着て白長靴で牛舎や鶏舎で測定します。また,帽子と作業服で工場でも実験を行います。野生の鹿を追って真夜中の茶臼山にも行きました。
こうした実験重視の研究を行うと,まず「想像していたのと違う」ことへの対処の連続です。それから,ある実験を,ある特定の日に実現するためには,それに向けて部品の調達・組み立て,ソフトウェアの開発,当日の移動,持っていくものの準備まで,「段取り力」が求められます。先生はぼーっとしているのであてになりません。また,外部の方々の協力も得て大勢で実施するので,コミュニケーションも重要となります。実用化を視野に入れた実験ベースの研究は学生のみなさんにとって重要なファクタが全部入っているのです。
そして最近は多くの展示会で研究成果のデモを行っています。そこでも学生のみなさんに,企業の方々を対象にしたデモを実施してもらいます。デモは本番に限ってうまくいかないものです。また,説明を聞いていただく方は大学の先生ではなく企業の方々です。「すごい研究」ではなく「役に立つ研究」であることを説明できることが重要です。
こうした活動を通して,学生のみなさんには「想像力」「実現力」「説明力」を徹底的に訓練してもらいます。
「今」の時代の特殊性・・・ 我々のゴール
IoTとAIの出現によって,産業界や社会の構造が,この先10年で大きく変わる,と言われているのはみなさんも知っていると思います。新聞を見ていても,毎日のように今という時代の特殊性が論じられています。情報科学を学ぶ皆さんはその渦の真ん中にいて,そのパワーの原動力になるわけで,これからの主役です。本当に楽しみです。
皆さんが自分で会社を作る人(くらいのアイデアを作る人)になったらおもしろいと思っています。IoTとAIというテクノロジーを知れば知るほど,そのロマンが湧いてきます。